コロナ禍が各社の業績に悪影響を及ぼしています。
景気の回復が見えない中、業績悪化の裏側で、リストラの影がちらつくのが世の常。
リーマンショックの時と同様、真っ先にリストラのターゲットにされるのは中高年社員でしょう。
どの業界も厳しい状況で、次の就職先探しは容易ではないことが想像され、今までと同じような仕事や収入を望むのは難しいと言わざるを得ません。
しかし、これを機会に「会社中心の生き方を変えたい」「ゆるく楽しい人生を送りたい」と考える方も多いのではないのでしょうか。
私がそうでした。
肩書きや年収よりも、時間や気持ちに余裕をもてる仕事を探してみようとお考えの方のために…
「ゆるい転職」を探す際の、心構えと履歴書を書く上でのポイントをお伝えします。
私の体験と失敗が、お役に立てば幸いです。
※肩書きや収入を指向される方のお役には立てませんが…
コロナ禍で、倒産やリストラが増加
GoTo○○など、国は経済を回そうと必死ですが、家籠り需要に乗った一部の企業を除いて多くの企業が業績悪化に苦しんでいます。
業績悪化に伴って、大手企業がリストラに踏み切るケースが相次いでいます。
先日大きなニュースになったのが、ANAの人員削減計画。
続いて日立金属も大規模な人員削減計画を発表しており、リーマンショックの時のような「リストラ止む無し」の空気が・・・
嫌な感じです。
大型のリストラ計画が相次いで報道されて、組合への説明もしやすくなりました。
目先の業績を何とかするのに必死な経営者の脳裏にはおそらく、「リストラ」の4文字がちらついていることでしょう。
残念ながらこの先も、人員削減の報道は続くと思われます。
再就職は難しくなる
コロナ禍は、ほぼすべての業種に広く影響を及ぼしています。
つまりどの業種も人を絞りたい状況で、業種を変えれば求人があるというわけではなく、再就職はより厳しいと考えざるを得ません。
全体的な求人数の減少で、再就職の競争率はますます高くなります。
国をまたいだ移動が制限されている現状では、海外経験を活かして… という売り込み方も難しいでしょう。
それでも、能力ある人にはそれを生かす道があるはず。
同レベルの会社、同レベルの収入は厳しくても、それだけが人生ではありません。
出世争いやノルマとは無縁な、やりたいこと重視の生活。
そのための、月5万10万程度のベース収入を、業種にこだわらず今まで蓄積したスキルを活かして稼ぐ。
「ゆるい転職」もひとつの考え方です。
高望みをしなければ、何かがあると信じましょう。
少ないチャンスで失敗しないために、知っておいたほうがいいことがあります。
経歴が邪魔をするパターン
「高望みをしなければ何かあるはず」
・・・まさに私がそうでした。
実家の事情もあって週三日程度のパートを探していました。
自分では条件を「落としている」つもりでしたが、これがなかなか難しかったのです。
この条件だと競合が若いママさん達になりがちで、そうなると定年間近のオジサンには勝ち目はありません。(^^;
女性が応募しそうなところから職種をずらしてみても、何故か「申し訳なさそうに」お断りをされたことも2回。
賃金も仕事内容も高望みはせず、きわめて謙虚に申し込んでいたのですが…
定年退職後の再就職 ~アラ還の条件めんどくさい奴に職はあるか
早期退職後、再就職もせずに早や1年ちょっと経ちました。パート仕事は継続的に探していますが、アラ還でめんどくさい条件希望のこんな私に丁度いい仕事はあるんだろうか。これが時々あるものなんですね。私のゆるゆるな求職活動と、まだ見つからない現状をお伝えします。
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お断りの理由はだいたい想像できましたが、
「なるほどこんな理由もあったのかもなー」と納得したコラムがありました。
採用する側も大変なんですね。
「この人、経歴はスゴいけど、なぜうちの会社に?」とか「経歴自体はうまく表現されてはいるけど、実はそんなにたいしたことがなく、盛られているのでは」などと疑心暗鬼になります。
それゆえ、スゴい経歴の人ほど採用しづらい状況に陥るわけです。
私の経歴を自慢しているわけではありません(実際そんなに大したものでもありません^^)。
しかしそれなりに名の知れた一部上場企業で、それなりの職歴を積んではきたので、履歴書を書けばそれなりの人に見えたかもしれません。ね。
「そんな人がなぜうちのパートに?」と。
実際、最初に書いた履歴書(自分ではよく書けてると思っていた)をハローワーク窓口の人に見てもらったら、
「これは、がっつり好待遇の再就職を狙う履歴書ですよ」
と言われました。
いろいろご指導されて、履歴書・職務経歴書ともに大幅に改編!
簡略化して2ページを1ページに、
職歴少な目・実績控えめ・仕事への姿勢重視に書き換えました。
このあたりは後ほど詳しく触れます。
意識を変えられないパターン
自戒も込めて、大企業出身者が気をつけないといけないところです。
「ゆるい転職」には肩書きは不要。
いままで会社の看板と肩書きで仕事をしてきた人も、肩書きなしで転職先にどういう貢献ができるかをアピールしなくてはいけません。
では、大企業出身者が専門性と人柄において転職に失敗する共通点とは何か。
以下の5つだ。
①今までの仕事の“棚卸し”ができていない
②専門スキルの領域が狭い
③プライドが高く、謙虚さに欠ける
④前職の会社とつい比較してしまう
⑤過去の地位や人脈にこだわる上記の①②が「転職の入り口」で失敗するパターンだ。
● 三菱自、ANA……「大企業出身者」ほど転職市場で辛酸をなめる理由5
(PRESIDENT Online 2020/10/16)
③④⑤がダメなのはもちろんですが、
採用されるためには①②を相手にわかりやすく提示する必要があります。
「ゆるい転職」ではマネジメントまで視野に入れる必要はありませんから、マネジメント以外の即戦力スキルとして何を提供できるかが大切です。
そのためにも、貢献可能なスキルを今までの仕事から「抽出」「変換」しておくと、次の仕事を探しやすいし、履歴書や面接の際にも慌てません。
また、企業規模が違うと職務範囲も変わります。
大企業には当然あるような専門の部署はなく、専門分野から雑用まで、広い範囲の仕事を任されることになるかもしれません。
会社中心の生き方を繰り返すのが嫌なら、
ポイント
- 肩書きや昇進昇格は視野の外に置き、
- 給与ダウンは当然のことと受け入れて、
- 貢献できるスキルを棚卸ししておき、
- コンパクトに貢献することをイメージしましょう。
肩書きのない自由を手に入れる生き方も、気楽でよいものですよ。
「ゆるい転職」を成功させるには
ここまで「ゆるい転職」のための心構えを書いてきましたが、
ここからはもう少し具体的に、その準備についてお伝えします。
スキルを棚卸ししておこう
私がハローワークに行っていた頃、年齢制限が60歳や65歳の求人には、
例えば
・公園管理整備
・交通整理
・ビル管理
・マンション管理人
・介護送迎
・施設清掃
といったものがありました。
どれも大事なお仕事ですし、条件があえば応募してみるとよいと思います(私もビル管理に応募したことがありますが、曜日時間が合わず採用には至りませんでした…)。
しかしもし、そういった一般的なお仕事ではなく、
「今までの会社人生で身につけたものを活かして働きたい」と思うなら、
「何ができるか」を、スキルのレベルで「抽出」「変換」しておくと、
求人票への反応が早く、相手へのアピールも強くなります。
前職で「部長をやっていました」は通用しません。
それだけでは「部下がいないと何もできない人」と見られてしまいます。
「ゆるい転職」を指向するなら、マネジメント力よりも、
一人で働ける力、チームで働ける力、貢献できる能力をアピールすべきでしょう(どの転職でも必要だと思いますが)。
年齢のハンディを覆すに必要なのはやはりスキル。プロボノや友人の会社で副業させてもらうなど、プロとして働く経験を現役時代から積んでおくことが大切です。
早い内から自己研鑽を続けていけば退職後も働くチャンスがより得られると思います。
●コロナより怖い"老後大格差地獄"が襲来
…定年後6割が再就職できない惨劇(PRESIDENT Online)2020/10/23
スキルは多い方がいいですが、履歴書では相手の望むものを提示できればよいです。
ありあまるスキルを「あれもこれも」と詰め込むのは、逆に使いにくいという印象を与えかねません。
履歴書では最低限のものを書いて、他にもあることを匂わせておいて、あとは面接のやり取りの中で話すのがいいでしょう。
スキルそのものでなくても、上記リンクのように「会社の外でも活動していた」というのは大いに興味を引くのではないでしょうか。
余談ですが、
事務系の求人では Office系のソフト(エクセル>ワード>パワーポイント)のスキルは必須です。
パソコンの設定なども、人に聞かずにあたり前のようにできるといいですね。
笑えないのが、事務機器の扱い。
コピーやファックスを部下にやらせていた人は、最新機種に馴染んでおいた方がいいです。
小さなことですが、「こんなことも知らないのか」と思われたら残念ですよね。
下手をするとトラブル時に直し方を聞かれたり修理の連絡を頼まれたり…
老婆心失礼いたしました (^-^;
肩書きと実績はアピールしない
「え? それ大事じゃないの?」…と思われるかもしれませんが、
先にも述べたように、肩書きと実績のアピールが裏目にでてしまうことがあります。
その肩書きや実績が本当に会社に貢献した結果なのか、運が良かったのか、本人の出世欲の賜物なのか、履歴書の文面だけでは判断できないからです。
採用する側からすれば、出世欲の塊のような人は遠慮願いたいもの。
肩書きと実績のアピールには、慎重になる必要があるようです。
本当にスゴい経歴の人には、「誠実さ」のアピールが求められます。
具体的には、「嘘をつかない」「正義や公正を重んじる、悪徳や不正を憎む」「ミッションに忠実である」「組織や事業のための貢献意欲がある」「会社の理念への共感や使命感を持っている」など。
●「経歴はスゴい」がなぜか転職できない人の盲点
(東洋経済オンライン 2020/10/19)
上記引用では、経歴と共に「誠実さ」のアピールを薦めていますが、
「ゆるい転職」では「協調性」のアピールが重要になってきます。
実績も肩書きも隠す必要はありませんが、書き方にはご注意を。
実績は、自分一人の手柄のように表現せず(たとえそうであっても)、
「メンバーの協力を得て」とか、
「上司の理解のおかげで」とか、
周囲と協力してなしえた成果であることを、履歴書・職務経歴書の文中で感じさせると良いでしょう。
ちなみに私は履歴書を簡略化した段階で、成果は主張せずに、
「主に○○、○○に携わってきました」
とだけ書いていました。
職務経歴書にも、大どころの成果二つぐらいと各時代のポイントだけ。
相手が興味をもってくれれば面接で聞いてくれるので、その場に応じてお答えするスタイルです(面接まで行ければ、ですが)。
あと、
「場に馴染むのは早い方で、チームワークを大事にします」
と書き添えて。< 嘘ではない^^
職歴と肩書きは、その通りに書くしかないですね。
でも、
「私が欲しいのは肩書きではありません」という姿勢が大切です。
「この会社で一緒に働きたい」、という気持ちを伝えましょう。
一緒に働く姿勢をアピールしよう
大事なのは、志望理由です。
それと、前の会社を辞めた理由も必ず聞かれます。
「なぜその経歴を捨ててうちに?」
を、相手が理解できるように説明します。
- 辞めた理由を簡潔に
- 不平や不満はNG
- 消極的な表現は使わない
- 会社都合であっても前向きな姿勢を
- 最後は自分の意志であることを強調する
そして、
- この会社を志望した理由
- 自分の力をどのように活かしたいかなどの抱負
を重ねます。
志望理由には「その仕事が好き」「その業界が好き」「地域で働きたい」「人の役に立ちたい」など、積極的な姿勢を書きましょう。
…ですが私は、「これからの自分に必要な働き方」と「求人条件」のマッチングを、志望理由にさせて頂きました。
恥ずかしながら、こんな感じで(原文まま)。
一昨年父を亡くし、昨年母の看護のため前職を早期退職しました。今は同郷の妻の実家も含めて介護補助のため隔週末+αで帰省する日々です。これからは実家のことも含め、穏やかに時間にゆとりのある働き方をしていきたいと思い、応募させていただく次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
やりたくない仕事ではないことが第一条件ですが、こんなことも「ゆるい転職」の志望動機になります。
会社側も、すぐに辞めてしまうような人は採用したくないもの。
事情にあった働き方ができるなら長く働かせていただく覚悟があることは、面接できちんとお話ししました。
辞めた理由と志望動機を相手に納得していただいて、これから一緒に働く姿勢をアピールしましょう。
再就職の見つけ方 ~ パート、そしてコロナ
早期退職して1年4ヶ月の求職活動の末、縁あってパート仕事を頂きました。ハローワークではなく、就職エージェントが持ってきてくれたご縁です。良いご縁をつかむには、タイミングを逃さない動き出しと、自分なりの基準をしっかりと持っておくことが大事です。
続きを見る
自分のバックグラウンドを語ろう
面接まで行ければしめたもの。
ここで「誠実さ」「協調性」をアピールして、会社にうまく溶け込むことができる「人間性」を感じてもらえれば、好印象間違いなしですね。
そのためには、
- なぜ私は誠実だと言えるのか、
- なぜ協調性があると言えるのか、
…を感じさせる何らかの事例や経験があると、
「この人の言っていることには嘘がないな」
と思ってもらえるでしょう。
根っこの生えている性格には大抵の場合、「なぜそういう性格になったのか」について過去のライフヒストリーの中にきっかけや根拠があるもの。
「自分はなぜ誠実な性格になったのか」という理由を過去の自分の歴史や経験から紐解くことで、それが入社してからも再現性のある「根っこの生えた思い」であることを伝えて初めて、採用する側の信頼を得ることができます。
●「経歴はスゴい」がなぜか転職できない人の盲点(東洋経済オンライン)
とは言っても、いきなりエピソードトークを始めるのも唐突ですので、
履歴書や職務経歴書に書かれている何か(学生生活での経験とか業務上の苦労とか)に絡めて話ができるように、準備をしておくとよいと思います。
ここまでくると、人間性の勝負?
勝つか負けるかではなく、好かれるか嫌われるか。
職場に定着してくれそうな人、いい人間関係を作ってくれそうな人が、採用されることと思います。
これからの生き方を変えるチャンス!
「リストラ」という言葉には非情な響きがあります。
思い描いていた会社人生が、突然先の見えないものに…
前職でも幾度かのリストラを経験し、多くの仲間が会社を去っていきました。
背負うものが大きい働き盛り世代においては、生き方云々よりも収入の確保が第一になります。
しかし我々定年世代の場合は、肩の荷もだいぶ軽くなっており、次の人生に移行するタイミングの方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、収入ゼロは不安で不自由、何かとつらいもの。
家にこもらない、社会との接点をもち続けるためにも、小さな仕事はあった方がいいです。
そのためにも、
何もしない選択ではなく、ガチな転職でもない、
「ゆるい転職」を考えてみてはいかがでしょうか。
その際に必要なのは、大企業意識を捨てることです。
今までの実績や経験はいったんリセットし、転職先のルールや風土に合わせて行動することが最適です。
経験値やスキルは自身のほうが上でも、転職先にいる社員全員、社歴では自分の先輩にあたるということを頭に置き、素直に謙虚に、転職先に溶け込む努力をしてください。
●三菱自、ANA……「大企業出身者」ほど転職市場で辛酸をなめる理由5
(PRESIDENT Online)
1つの会社で長く務めてきた人には、その会社の文化が染みついています。
会社が変われば、文化も常識も変わります。
意識を変えて、生き方を変えて。
新入社員、頑張りましょう!
あ、その前に、転職が成功しますように…
エールをお送りします!