皆さんは、パートナーのことをどう呼んでいますか?
今回は、男性が(私が)配偶者をどう呼ぶべきか問題をとりあげます。
公式の場なのか、仲間内の会話なのか、同席しているのか、場合により、相手との関係や呼ばれる側の考え方により、言ってしまえば人によって、正解は一つではないと思っていますが、
今回は「外でパートナーのことをどう表現するべきか」、ちょっと真面目に考えてみます。
人間、言われないと気がつかないことは多いし、もしかしたらそれが無意識に人を傷つけているかもしれないし・・・
「奥さん」は失礼?!
配偶者の呼び方には色々ありますが、私の場合、
公式な場では「妻」、カジュアルな場では「奥さん」を使っていました。
とは言えフォーマルな場にはあまり縁がないので、外での会話では「うちの奥さん」と言っていることが多いです。
文章を書くときも「奥さん」を使っています。
配偶者のキャラクター上、互いの関係性からも、「奥さん」が一番しっくりくるかなあ‥と、せいぜいそのくらいの気持ちでした。
ところが先日、テレビだったかWEB記事だったか、「奥さん」と呼ばれるのは嫌だ、という意見を目にしました。
「奥さん」の語源は「家の奥に控えている人」。
時代錯誤的で失礼じゃないかと。
今までコラム内でも「奥さん」を多発していました。語源に関しては薄々知ってはいたものの今の時代では許容範囲だと思っていたので、これを不快に思う人がいるということを知って冷や汗ものです。
今さらですが、大変失礼いたしました。
これを機会にしっかり考えてみたいと思います。
ちなみに彼女は、外で私が彼女をどう呼んでいるか、文章でどう表現しているかについては知りません、たぶん。
無関心、とも言う?^^;
じゃあどうでもいいか。
というとそういうことでもなく、いつか知られたときにどう思うか、これを読んでくれている人がどう思うかは大事だし、気がついたからには一度ちゃんと考えておく必要があると思うのです。
真面目だな。笑
進めます。
呼び方を整理してみよう
配偶者の呼び方いろいろ(男→女)
男性からみた配偶者の表現には、次のようなものがあります。
- 妻 ‥夫(自分)の配偶者。結婚相手を表すもっとも古い言葉
- 奥さん ‥相手(他人)の妻、既婚者と見える女性。語源は「奥の方の部屋」
- 嫁(嫁さん)‥息子の妻。嫁ぎ先で使われる言葉
- 家内 ‥亭主の妻。語源は「家の中にいる人(専業主婦)」
- カミさん ‥商人の妻、その家の女主人。語源は”目上の人”を表す「上様(かみさま)」
- 女房 ‥妻のこと、朝廷に仕える女官(使用人)。語源は「女官が住む部屋」
- 家人 ‥家族。同じ家で一緒に暮らしている人
- 配偶者 ‥戸籍上の呼び方
- その他 ‥相方、ママ、母さん、パートナー、名前、うちの(奴)、連れ合い、伴侶、etc.
自分の配偶者をどう表現するかについて、「正しい日本語」や「ポリティカルコレクトネス」「ジェンダーニュートラル」といった視点は重要ですが、
日本語の使われ方は時代や年代で変わるものですし、ジェンダーニュートラルについても今がまさに変革期。
したがって「今の自分」にとっての正解 として、
- 世間様に大きな失礼のない、
- 会話で(コラムで)違和感のない、
- 我が家で問題にならない、
- 我々夫婦の関係性を表してくれる
表現は何か。
という視点で考えていきます。
逆はどうなの?
配偶者の呼び方いろいろ(女→男)
逆に女性が配偶者のことを表現する場合、次のような呼び方があります。
- 夫 ‥女性を「妻」というのに対し、男性をいう語
- 主人 ‥家の長、店の主(あるじ)、自分の仕える人
- 旦那(旦那さん)‥自分や他人の夫。他に、お布施をする人、商家の奉公人が自分の主人を敬っていう語、男の得意客、
- 亭主 ‥その家の主(あるじ)、夫。茶の湯で茶事を主催する人
- 婿 ‥「嫁」の対義語。婿入り先で使われる言葉
- その他 ‥相方、パパ、お父さん、名前、夫さん、うちの(奴・人)、etc.
ちなみに彼女が外で私のことを何と呼んでいるのかについて、私は多くを知りません。
たぶん、「主人」「旦那」「夫」あたりを使い分けているのではないかと思います。
もしかしたら「亭主」とか「うちの」とかも言うのかなあ。「ダメオヤジ」とか「バカ亭主」とかは勘弁してほしいけどなぁ。
まあ、どうでもいいか。
こっちの方は放っておきましょう。進めます。
用法的には「妻」が正解らしい。が しかし‥
意味合いや語源から、「妻」を使えば間違いはないようです。
しかし、「うちの奥さん」もカジュアルな場ではよく聞く言葉です。まさに今、使われ方が変化している時なのかもしれません。
そうかと思うと、お笑い業界でよく聞くのは「うちの嫁」。(もっとも、これはお笑いのテクニックの一つでもあるので素人が真似をすると事故を起こすかも)
たぶん、世代や業界、会話のシチュエーションでも呼び方は変わるのでしょう。
しかしもうひとつ大事なのは、言われる側がどう感じるか。
夫になんて呼ばれたいかアンケートより
ここで、女性側の意見も聞いてみましょう。
検索してみるとたくさんのアンケート結果があるのも、この問題の関心の深さを表していますね。
CanCanのアンケートより(2019.9.14記事)
Q.あなたは、第三者に対してご主人からどのように紹介されたいですか?
妻 67.2%(1,118名)
嫁 21.0%(349名)
その他 7.8%(130名)
奥さん 1.6%(27名)
家内 1.6%(26名)
相方 0.8%(13名)
女子SPA!総研アンケートより(2018.08.26記事)
Q1. 夫が、あなたを他の人に紹介するとき、どんな呼び方で紹介されたいですか?(複数回答)N=119
1位 妻(57.1%)
2位 奥さん(37.8%)
3位 下の名前+ちゃん(14.3%)
4位 嫁(10.9%)
5位 下の名前の呼び捨て(10.1%)
6位 家内(8.4%)
7位 嫁さん(7.6%)
8位 相方=あいかた(4.2%)
9位 ママ(2.5%)
10位 下の名前+さん(2.5%)
11位 パートナー、うちのやつ、ワイフ(各0.8%)
ゼクシィのアンケートより(2010/1/22記事)
★「夫にこう呼ばれたい!」と思う呼び方は?TOP10
(回答者数:197・複数回答)
1位:奥さん
2位:嫁(嫁さん)
3位:名前(呼び捨て)
4位:妻
5位:名前(ちゃん付け)
6位:うちの
7位:相方
8位:家内
9位:カミさん
10位:なんでもいい
嫌な呼ばれ方は・・・
「こんな呼ばれ方は嫌だ、と思うのは?」という質問もありましたので、見ておきましょう。
女子SPA!総研アンケートより(2018.08.26記事)
Q.もっとも不快な呼ばれ方は?(単数回答)N=119
1位 うちのやつ(37.8%)
2位 ママ(17.6%)
3位 相方=あいかた(14.3%)
3位 嫁(14.3%)
5位 家内(8.4%)
6位 つれあい(2.5%)
7位 嫁さん(1.7%)
7位 パートナー(1.7%)
9位 妻(0.8%)
その他(0.8%)
ゼクシィのアンケートより(2010/1/22記事)
★「夫にこう呼ばれたら嫌だ!」と思う呼び方は?TOP10
(回答者数:197・複数回答)
1位:ハニー
2位:相方
3位:カミさん
4位:うちの
5位:女房
6位:家内
7位:名前(ちゃん付け)
8位:嫁(嫁さん)
9位:名前(さん付け)
10位:その他
【その他 回答】
「アイツ」(33歳)、「コブタ」(31歳)、「うちのやつ」(31歳)など。
無難なのは「妻」「奥さん」
アンケートの時期、回答者の層や世代で結果は異なりますが、
嫌がられず無難なのは、やはり「妻」と「奥さん」のようです。
「うちの奥さん」は用法としては間違いだとはいえ、違和感なく使われている様子が見えます。
# ちょっと胸をなでおろした私です… (^^;
世間的に無難な呼び方はわかりました。
ならば無難な呼び方を使っていれば良いかというとそういうことでもなく、
もし相手が不快に思っていたとしたら、アンケート結果に関係なく、問題ありです。
皆さん、大丈夫ですか?
うちは、大丈夫なのか??
我が家の配偶者に聞いてみました(勇気!)
さてさて。
コロナ禍で外食の機会はガックリ減ってしまいました。馴染みのお店にもなかなか顔を出せなくて、寂しいやら申し訳ないやら。
仲間と飲みに行くことはできなくなり、たまの外食は夫婦で。
久々の外食の帰り道、聞いてみました。
何て呼ばれたい?呼んでほしくない?
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど‥」
「え?なに?なに?」
「いや、外で『奥さん』と言うのをどう思うか、『妻』とか他の呼び方で言って欲しいのか、なんて‥」
「へ? ん~~?気にしたことないなぁ…
いいんじゃない?『奥さん』で」
「そ、そうなの?」
「うん、どうでもいい」
わはは。
予想通りと言えば予想通り。
ありがとう ^^
自分のことも聞いてみた
ついでに聞いてみよう。
「オレのことはどう呼んでるの?」
「いろいろじゃないかなぁ、『夫』とか『主人』とか『旦那』とか」
「『夫』が多いかなぁ‥」
TPOで使い分けているようです。
中にはこんな呼び方も
彼女が知っている、とあるグループでは「夫さん」がスタンダードだったそうです。
男女は対等であるべき、という理由だったらしいですが、
「昨日うちの夫さんがね、・・・」
う~ん、なんか変な感じ。聞きなれないからかな。
うちの奥さんもその言い方には馴染めなくて使っていなかったそうですが、その場特有の使われ方はあってもおかしくはないでしょう。
「夫さん」に関しては、こんな論文※がありました。
ジェンダーニュートラルで日本語としても間違っていないものの、新しい言葉として馴染むには、時間がかかりそうです。
※)他人の配偶者の新呼称を探るアンケート調査
~「ご主人」「奥さん」から「夫さん」「妻さん」への移行の可能性
水元光美氏 日本語とジェンダー 第17号(2017)
我が家の結論「どうでもいい」
うちの配偶者の力強い言葉、
「いいんじゃない?『奥さん』で」
「うん、どうでもいい」
というわけでうちの場合は今まで通り、
普通の場では「奥さん」で、ちょっとかしこまった場では「妻」を、使っていこうと思います。
コラムの中でも今まで通り、「奥さん」と呼ばせていただきます。
我が家のキャラの一面として、ご納得いただければ幸いです。
「相方」ってどうよ(笑)
会話の最後に、うちの奥さんから新たな提案。
「『相方』なんて、いいかも」
おいおい‥
「夫婦漫才か!」
と、すかさずツッコんだのは言うまでもありません。
雰囲気的にはホンワカ対等で好きな言葉ですが、お笑い成分が多すぎて本職のお笑いの人に失礼な気がする。絶対笑かさないとダメな気がする。
ごめん、無理だ~ ^^;
人への想像力と気配りを
というわけで、我が家のパートナー呼び方問題は結局、今まで通りの「奥さん」「妻」併用で落ち着きました。
というより「どうでもいい」ということでした。あはは
世の中的に無難な第一選択肢は「妻」、あとは「奥さん」なのか「嫁さん」なのか、お名前なのか「相方」なのか、相手に嫌がられない使い勝手がいい呼び方を使うのが良いでしょう。
呼び方ひとつでも、難しい
幸いにして今回、呼び方に関しては「それは嫌」とか言われずにすみましたが、もしかしたら他にも「そういうこと」があるかもしれません。
少しずつ妥協したり我慢して暮らしていくのが家族。
ちゃんと相手に伝えて、すり合わせていく作業を怠ってはいけませんね。
思い込みとすれ違い
自分が思っていることと相手が感じていることが同じだとは限りません。無意識に相手を傷つけていること、あるかもしれない。
長年連れ添った夫婦でも元は他人、いつまでたっても微調整は必要です。
うちも毎日微調整(笑)
お互い言いたいことはあるでしょうが(私にも ^^;)、底流に思いやりと信頼感があって、言えばやってくれると思えるうちは何とかなる。
小さな気持ちのすれ違いや勝手な思い込みが、取り返しのつかない大きなズレになる前に、コミュニケーションをとっていきたいと思っております。
若いうちは喧嘩するエネルギーもあるでしょうが、歳をとると喧嘩すらめんどくさくなります(たぶん)。
心穏やかに毎日を過ごすためには、まず足元の人間関係を良いものにしていかないと、ですね。
完全に自分言い聞かせモードですが、今回はこの辺で・・・
最後に、皆様の夫婦関係が円満でありますように。
うちもね。笑