ステージの真ん中にドーンと位置するドラムは、楽器としての存在感抜群!
そこに座るだけでもなかなかのドキドキ体験ですが、「演奏」しなくても楽しめます。
赤ちゃんが音の出るオモチャでニコニコしているのと同じ気持ちで座って下さい。
そしてどれかを叩けば音が出る。楽しい!!
でも、気持ちよく音を出そうとすると、必然的にリズムにあわせて「パターン」を叩きたくなります。
それが自然と、手足のいい運動に、脳のトレーニングにつながります。
「手足の連動」をスムーズに
ドラムの練習は、出来ない動き・普段やらない動きを自分の体に馴染ませていくという点で、リハビリに似ています。
「あー、できないー!」から、「お?!できてる!」へ。
普段やらない動きをやることで、脳と筋肉が活性化します。
「普段やらない動き」を「リズムに乗って」やるといえば「ダンス」もそうですが、場所をとらずに最小限の動きで出来るのがドラム。
ドラムは「動きの正解・不正解」が自分でもわかるし、何か叩きながらやれば音でもわかるので、ひとりでも練習できます。
簡単なリズムで楽しく動いて、難しい動きはいくらでもあって、やることに限りがありません。
全身の筋肉の「連動」をよくすることで、歳をとっても動ける体を作るのに役立つはずです。
運動のつもりでやらなくても、いい運動になるところがポイント。
楽しみながら「動ける手足」が手に入ります。
リハビリと違うのは「生活に必要な動きではない」ところですが、楽しいことをして体に新しい機能をインストールしていく、
「自分をアップデートさせるリハビリ」とも言えるでしょう。
手首と指先の「感覚」の訓練
大きな音が出せるのもドラムの魅力ですが、ただ強く叩けばいいというものではありません。
力まかせにでっかい音を出してスカッとするのも「全然あり」ですが、プロの爆音ドラマーもただ大きな音を出しているわけではなく、まわりの音を聴いてそれに見合った爆音を出しているわけで、実は小さい音でもちゃんと叩けるんです。
スティックコントロールには、指先・手首・腕・肩を使います。
X JAPANのYOSHIKIさんはさらに首・背中も使って全身で叩きますが、あれはもう「YOSHIKI」という技なのでそれはおいといて笑
上達するにつれて、指を使ったスティックコントロールができるようになります。
全身運動であると同時に、手首の動きや指先の繊細さも必要とされるのがドラム。
手首と指先の動かし方、感覚の訓練にもなります。
足の動きは「転倒防止」と「ウォーキング効果」
ドラムを叩くときの「足の動き」に注目してみましょう。
右足で「バスドラム」、左足で「ハイハット」のペダルを踏みます(通常、右利きの場合)。
バスドラム:「ドンドン」と鳴る重低音の一番大きな太鼓
ハイハット:「チッチッ」と鳴る2枚重ねの小さなシンバル
ペダルの踏み方には大きく二通りあって、
- かかとを下につけたまま つま先を上げ下げしてペダルを踏む「ヒールダウン奏法」と、
- かかとを上げ下げして つま先から足裏全体でペダルを踏む「ヒールアップ奏法」
があります。
この二つを「運動(エクササイズ)」として見ると、
- 「ヒールダウン奏法」はつま先をあげる運動になるので、つまずいて転ぶような怪我が少なくなる、すなわち「転倒防止」になります。
- 「ヒールアップ奏法」はふくらはぎの運動になるので、「ウォーキング効果」があります
上達するにつれて力が抜けてくるので、筋力トレーニングとしては強度が低いかもしれません。
しかしそれは、筋肉をタイミングよく動かす「コツ」を身につけて、体を上手に動かせるようになった証とも言えるでしょう。
やってみよう ~ 4Wayトレーニング
ためしにひとつ、手足を動かしてみましょう。
ドラムの基礎練習の一つでもある「4Way インディペンデンス(四肢独立)トレーニング」と言われるもののひとつです。
リズムにあわせて両手足をバラバラに動かす練習ですが、ゆっくりのリズムからなじませてしばらくやっていれば、必ずできるようになります。
椅子に座って、両手を両足の太ももの上に置きます。
1,2,3,4のリズムにあわせて
右手を1, で、
左手は 3, で太ももを叩いて、
右足は 2, 4で踏んでみましょう。足の動きは「ヒールダウン」でも「ヒールアップ」でもOK。
音としては「タン ドン タン ドン」になります。
(再生をクリックするとリピート再生されます(bpm90、1分間に90のテンポです))
それができたら、右手と同時に
左足を1, で踏んでみましょう。
ちょっと聴こえにくいですが、1の右手「タン」と同時に、左足でハイハットを踏んだ「チッ」という音が重なります。
次は、左手と同時に
左足を 3, で踏んでみましょう。
これもちょっと聴こえにくいですが、3の左手「タン」と同時に、左足でハイハットを踏んだ「チッ」という音が重なります。
どうですか?簡単ですか?
「で、できない・・・」の間、脳は必死にこの動きを理解しようとして手足に指令を送り、手足も脳の理解に追い付こうと必死に動きをあわせます。全身が活性化している瞬間です。
基礎の基礎と言われている4ウェイのひとつですが、こういう動きを脳と体に覚えさせておくとドラムの上達が早いようです。私は最近になってやり始めております。う~ん、テンポあげると難しいぞ。^^;
テンポだけでなく、手足の順番を入れ替えてバリエーションをつけることができます。
ちなみに、あの神保彰さんも毎日のエクササイズとしてこの4ウェイをやっているそうです。と言ってもマシンガンのようなスピード(BPM90の32分音符=上の8倍の速さ)らしいですが。
こういう地味なことを毎日やるのが大事なんですねー。頑張りましょう・・・
正しい姿勢で「全身運動」
注意しなくてはいけないのは、叩いている時の姿勢です。
前かがみになったりのけぞったりしていると、腰や背中に無理がかかります。ドラマーが腰や背中を痛めるのはよく聞く話。若いうちはともかく、年齢を重ねたら体を痛めないように気を配るのも大事ですね。
足を動かしてもバランスが崩れないように体幹をしっかり。
背筋を伸ばして、頭が骨盤の真上にあることを意識して叩きましょう。
姿勢でいえば、理想は神保彰さんでしょうか。見事に背筋が伸びています。神保さんの場合、ドラムを叩いている時だけでなく日常生活全般で姿勢がいいというのもありますが、若い時は今よりも前傾で力を入れて叩いていたそうです。
実は私も前傾の癖がなかなか抜けず、演奏していると骨盤が後ろに行きがち。時々ハッと気がついて姿勢を直しています。こうならないように、最初から良い姿勢を身につけるのがお勧め ^^
ドラマーによって叩くスタイル・姿勢は様々、出したい音やステージでの見せ方によっても変わります。
でも健康のことを考えるなら、まずは体を痛めることのないように「正しい姿勢」を意識したほうがいいですね。
脳と体をアップデート!
ドラムの演奏にならって手足を動かすエクササイズは、手足の連動性を高めて、脳トレの効果もあります。
そして実際にドラムを叩くための基礎練習にもなります。
手足が動くようになったらドラムセットに座ってみましょう。もちろん、いきなり座って叩いてみるのもOK!
叩いたところが鳴るのがドラムです。音符が読めなくても音を出せるのが他の楽器と違ういいところ。存分に楽しんでください。
思い通りに全身をコントロールできるということは、健康な脳と体をもっているということ。
ドラムで楽しくトレーニングして、脳と体をアップデートしていきましょう。