先日、いつものように新聞を読んでいて、
「動けぬ『会社の妖精さん』」
という記事の見出しに脳内「??」マークの私。
「妖精さん?」
会社を辞めて1年ちょっと、知らぬ間に会社に妖精さんと呼ばれる何かが現れるようになったのか??
記事によると、存在感が薄くてマボロシのような存在の、定年前のおじさんを揶揄してのネーミングのようです。
うまいこと言う!
感心してふと思った、
勤めていた会社にもそういうおじさん、いたのかな…。
よく覚えてないけど。よく覚えてないのも妖精だからなのか…?
自分は、どうだっただろう‥ (^-^;
「会社の妖精さん」とは何だ??
11月12日の朝日朝刊の3面に、その見出しはありました。
「老後レス時代 エイジングニッポン」という特集記事の第2回、
「動けぬ『会社の妖精さん』」
会社の妖精? なんだ?
知らないうちに机の上を片付けてくれる妖精とか?
見えないところでプチいいことをしてくれている人?
と思ったら、会社で存在感がない、定年前のおじさんのことでした。
その実態は、メーカーに勤める50代後半で、働いていないように見える男性たち。
朝の数時間しか姿を見せないので、若手の間で「妖精さん」と呼んでいる。
フレックスタイムを使って午前7時前に出社、タイムカードを押してから食堂へ。コンビニで買ったご飯を食べ、スポーツ新聞を読んでゆったり過ごし、他の社員が出社する9時前に静かに自席に戻っていく。
おー、うまいこと言う。
流行語大賞のノミネートはもう終わりましたよね?(笑)
社内では、パソコンは「ひとさし指の一本指打法」で、仕事もないのに「エア残業」しているとの批判もあった。かつてがむしゃらに働き、日本の製造業が強い時代を支えた人たちだ。
「仕事へのやる気もなく、ただ定年を待つだけに見える。
会社は解雇もできず、他に移すポジションもない。若手はストレスがたまる」
若手からすれば、給料を吸い取られるだけの邪魔な存在。
デジタル版有料記事の方では、
という記事名で、もっと詳細かつ辛辣に描写されています。
女性は続ける。
「5年すればみんないなくなると思っていたら、数年前に会社が60歳から65歳へと定年の延長を決めた。ああいうおじさんたちと、これ以上一緒に過ごせないと思ったんです」。
結局、この会社に10年近く勤めたが、「もっと若くて、スピード感のある会社に」と数年前にIT企業へと転職したという。
新卒一括採用と終身雇用の歪みが生み出した、新種の妖精?
昔も「窓際族」と呼ばれる人種がいましたが、さらに存在感がなくなっちゃいましたね。
頑張ってきたのにお荷物扱いされるのは、悲しいね…
「会社の妖精」は、なぜ生まれるのか
会社の妖精さんは要するに、出世競争の「負け組」なんでしょう。
それだけではなく「干された」状態なんでしょうね。
役に立っていない、存在承認が得られない状態はつらいものです。それまでバリバリやっていた人ならなおさら。
そこで無理やりにでも存在感を出して嫌がられるか、立場をわきまえて邪魔にならないようにするか。
後者が「妖精さん」になるのでしょう。
迷惑をかけないように存在感を消すのも、ひとつの能力です。やたらと口を出して嫌がられるよりましだとは思うのですが…
存在感なし=「要らない人」感は、妖精さんの方が上かもしれない。
日本はまだ「仕事への雇用」ではなくて「会社組織への雇用」なので、会社としても組織から簡単に放り出すわけにはいかず、何らかの形で会社に残る手段を用意します。建前上は。
組織の上の方にいる一部の人を除いては、会社に残れたとしても安い給料で、それまでとは違う身分で働くことになります。
給料が下げられて仕事量や残業時間が変わらなかったら、しんどいですよね。< σ(^-^;?
どちらかというと妖精になりたかった私でしたが、なり損ねて‥ 今に至ります(笑)
しかし記事によると、きっちり仕事を減らして(無くして)くれる会社もあるようですね。ずいぶん余裕のある会社とお見受けします。
ちょっとうらやましいなぁ…
「妖精」の寿命は長くない
妖精さんには妖精さんの悩みがあるでしょう。
居るところがあってもやることが無い毎日は、居場所がないも同然。
居場所がない所に毎日行かなくてはならないのは、それはそれでつらいものです。
でも「いるだけでお金をもらえる」としたらこれほどラクな仕事はないですね。
それでいて早く帰れて、自分の好きなことができるとしたら‥
しかし、この状態は会社の「社員の雇用を守る」制度によって可能になっているだけで、雇用を守り切れなくなったら最初に放り出されるのは「妖精さん」です。
引続き、デジタル版有料記事より
国は、高齢化に対応するため、企業に対して希望する人を70歳まで雇わせようとしています。しかし、そのための人件費を国は出しません。とはいえ、企業も株主の手前、全体の人件費はあげられない。結果、賃金カーブを見直し、下方修正するはずです。
ただちに狙い撃ちされるのは、生産性と賃金が見合っていない働かないおじさんでしょう。
国の制度改革と企業の雇用条件の歪みで、このような人たちが生まれているのが現状です。
今は端境期で、数年のうちに制度が変わるかもしれません。
会社に余裕がなくなったら、まず削られるのは経費と人件費。いつまでも同じように会社に残れるわけではなさそうです。
何か自分からアクションを起こさないと!
「妖精」も、次へのステップなら悪くない
会社にしか居場所がない人が、会社から必要とされなくなった時、どういうことが起こるか。
会社では「妖精」と呼ばれ、家に帰っても存在感なし。
そのまま定年を迎えたら、毎日行くところがなくなり、家の中で邪魔者扱いされるだけ。
家の中では「妖精」なんて可愛い言い方はしてくれません。
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誤解を恐れずに言うと、「会社の妖精」は恵まれた状態です。
会社ではお荷物と言われても、若手から疎まれても、居づらくても、忍び寄るリストラの陰に怯えながらでも、会社に残ることが出来れば収入はあるし、それでいて時間はある。
会社の中で妖精化している人がいたとしても、私はあまり心配しません。
会社の外で充実しているなら、これからの人生は楽しく送れると思うからです。
しかし、会社の外でも妖精のように存在感がない日常を送っているとしたら、心配です。
お金と時間をもらえているなら、それをこれからの人生に役立つことに使わないと損!
そのお金と時間は、いつなくなるかわかりません。
早く帰れるようになったからと言って、毎日帰りに焼き鳥と生ビールを飲んでる場合じゃない(たまにはいいけど笑)。
その時間を使って、これからの人生に必要な何かを、始めませんか?
妖精の羽で、動き出そう!
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