定年退職は、大きな生活の変化をもたらします。
小・中・高・大学・社会人と人生のほとんどの期間、いつもの時間にいつものところに行っていつもの人たちと会う生活を続けてきたのが突然ストーンとなくなるわけですから、それはもう大変な変化です。
人によっては待ち望んでいた生活の始まりですが、始まってみるとどう過ごしていいのかわからない方も多いようです。
あるいは定年を迎える前から不安でたまらない方も。
そこで、定年退職をむかえるまでにしておくべき準備と、定年退職後の過ごし方のヒント、心の在り方について、私の体験を交えてお話しします。
定年後に訪れる、喪失感
2018年に映画化された「終わった人」が、とてもリアルなんだそうです。舘ひろしさんが演じる東大法学部卒元銀行員の、定年退職後のあがきを描いた作品です。
- なぜエリートほど「定年後」が寂しいのか 現役時代と定年後の落差が激しい
PRESIDENT Online 2018/06/30
この映画、とても興味があったのですが、実はまだ観ていません。
公開時期がちょうど私の早期退職のころで、ちょっと見るのが怖かったのかな。ましてや夫婦で映画館に… なんて恐ろしくて想像したくもない感じ?(笑)
私はエリートでもなかったし「終わる」つもりもなかったですが、これから起こるかもしれない現実を気軽にエンターテイメントとして見る気になれなかったのだと思います。
久々に思い出したので、近いうちに観てみよう…
この映画は、仕事一筋の会社生活から急にやることがなくなった、元エリートの物語です。
ひとことで言えば、会社を辞めた後の「喪失感」との戦いです。←あらすじより推測
悩み事相談で有名な「Yahoo知恵袋」で「定年後の過ごし方」と検索してみると、定年退職後の生活への不安がこんなにも多いのか、ということがわかります。
- 定年後の過ごし方で、有意義な方法等を見つけて実践している事、事前にしておけばよかった事 がありましたら、なんでも良いので教えてください。
- 定年退職後の過ごし方 みんなさんの家庭ではどうしていますか?
- 皆さんの定年後の過ごし方を教えてください。
- ご趣味をお持ちでない方は定年後はどんな過ごし方をしているのかな?
- 定年後の過ごし方はどのように過ごすことを考えておられますか?そのために何か準備をされていますか。
- 定年退職後の有意義な過ごし方(主に男性)をおしえてください。
- 定年退職された方の毎日の過ごし方を教えてください。
- 退職後、どのような気持ちで日々を過ごしてらっしゃいますか。
- 私は定年後がこわいです。「一生仕事をしているほうが逆に気が楽だった」という人はいるのではないでしょうか。
- 定年を迎えた皆様方は、どのような生きがい、どのような過ごし方をされていますか。
- 定年後の自由時間は8万時間。50歳から探しておくべき「会社ではない居場所」
- 定年を1年後に迫っています。それまでに行っていたほうがいいのは
- 定年退職後ってやっぱり寂しいものですか?
- ・・・・
会社を辞めた後、何をすればよいのかという悩みが実に多いですね。
このコラムがひとつのヒントになれば幸いです。
良い人間関係と生きがいを手に入れよう
定年後の「3K問題(金、健康、孤独)」がクローズアップされたのは、数年前のこと。
「4K」すなわち、「おカネ(経済)、からだ(健康)、こころ(生きがい)、家族(パートナー、仲間なども含む)」が幸せな老後に欠かせない、という説もあります。
- 定年後、最高の人生を送るための4Kとは何か
(東洋経済オンライン 2018/03/13)
「3K」も「4K」も言っていることは同じ。
定年後を心穏やかに過ごすには、生活に困らない程度の「お金」と「健康」がまずあって、それに加えて「孤独」を解消するための「生きがい」と「良い人間関係」が必要です。
いずれも解決策は人それぞれ違いますが、
仕事以外での「生きがい」と「良い人間関係」は、自らが積極的に動かないとなかなか見つからないし、育ってくれません。
「静かに暮らす」ことと「孤独」とは違います。
「孤独」は「不安」を呼び、心穏やかでない日常を送ることになってしまいます。
いつでも声をかけられる仲間との「良い人間関係」と、
毎日少しづつでも前に進んでいる感覚(自己成長感)を得られる「生きがい」を、手に入れましょう。
ひとつと言わず、楽しいならいくらでも。
定年を迎える前から準備を進めることが大切です。
定年前準備をお忘れなく。終活前の大事な準備としての「定活」
経済コラムニストの大江英樹氏が、「定活」という言葉を提唱しています。「定年後に向けた準備として、定年前にさまざまな活動をする」という意味です。大江氏が日経スタイルで執筆しているコラムからの引用ですが、「わが意を得たり!」というわけでご紹介させていただきます。
続きを見る
お金と健康もしっかりと
とはいえ、お金と健康も大切です。
ライフプランを立ててみよう
特に「お金」に関しては、「退職金があるから大丈夫なんとかなる」と思っていても、これからの生活と寿命次第では危ういかも知れません。
我々より上の世代のように豊富な年金をもらえるわけではないので、年金定期便をちゃんと見て、定年後の資金計画をたてておくべきです。
私もそのあたりぼんやりとしか考えていませんでしたが、再就職のセミナーでお知り合いになったFP(ファイナンシャルプランナー)に相談して、資産と家計の見直しをしました。
さすが専門家、ライフプラン作成から保険や運用のアドバイスまでしてくれて、やらなくてはならないことが明確になりました。
不安の対象と大きさがわかると、解決しないまでも対応のイメージが出来てちょっと落ち着きます。
信頼できる専門家にライフプランを見てもらうこと、おススメです。
小さくても収入があると安心
一方キャッシュフローでは、退職金が入ったとしても収入がなければお金は出ていく一方。
小市民としては、電車に乗るのも躊躇します。
堂々と「無職」と言えるほどの資産家でもないし、小銭を使うのにもそわそわしますねー。
悠々自適って、なんだっけ(笑)
起業を目指してはいたものの、2~3年はかけるつもりののんびりペースで進めていました。「前に進んでいる感覚」はありましたが、やはり収入がないのは不安です。
そんな時に縁あって今のパート先で週3日働けることになり、お小遣い程度は賄えるようになりました。
再就職の見つけ方 ~ パート、そしてコロナ
早期退職して1年4ヶ月の求職活動の末、縁あってパート仕事を頂きました。ハローワークではなく、就職エージェントが持ってきてくれたご縁です。良いご縁をつかむには、タイミングを逃さない動き出しと、自分なりの基準をしっかりと持っておくことが大事です。
続きを見る
小額とはいえ、収入があるのはありがたい!!
働いているぶん自由な時間は減りましたが、自分で自由にできるお金ができて、安心感がずいぶん違うと感じています。
つられて起業のペースもちょっと落ち着いておりますが、「生きがい」分野できちんと前に進めていこうと頑張っています。どうか温かく見守ってやって下さい… ^^;
積極的に体を動かす
「健康」については、積極的に体を動かす機会を作らないと、どんどんなまっていきます。
私は、毎日少しですがストレッチと運動をしています。家から出なくなった自分に「やばい!」と思って始めたことですが、我ながらよく続いていると思います。
おかげ様でたまにテニスで大汗をかいても筋肉痛にはならないし、体重はキープ(減ったわけでもない)。
もしかして会社にいた頃より健康になってんじゃない?と思ったけど、昨年の健康診断ではあいかわらずな感じだったので、やっぱりまだゆるいんですね。
プラスの何かが必要かもしれない… (^-^;
人によっては、時間が出来て運動に目覚めてすっかり健康体に変身!というケースもあるでしょう。素晴らしい!
健康とお金は何をするにも必要です。
まずはここをしっかり、ケアしましょう。
運動グッズ おすすめ3選~ 自宅で続けられるもの(自己流ですが)
退職後にスポーツクラブ通いを始める方も多いと思いますが、ちょっとしたスペースがあれば自宅でも運動できます。本格的に鍛えるわけでなく、体重維持ぐらいの軽い運動ではありますが、早期退職から1年半、私がほぼ毎日続けられている運動Goodsをご紹介します。
続きを見る
準備は早い方がいい
さて、定年退職後の生活を想像してみましょう。
毎日の通勤や出張、スケジュールやノルマに追われた日々から解放されたら、不安や焦りがない、満ち足りた毎日が待っているはず・・・
でもそれは、何もしない日々を送ることではありません。
「何にもしないこと」が楽しく思えるのも3か月と言われます。
なにかをしていないと不安になるのが人間というもののようです。
じゃあ何をすればいい?
と、そこで不安になってしまうあなた、
50代のうちに会社の外に、「生涯楽しめる何か」と「ずっとつきあっていけそうな仲間」を育てましょう。
すぐにはできないかもしれない。
でも「新しいことを始める体験」を重ねて「新しい場に飛び込む経験」をしておけば、それがひとつの財産です。
いつの間にか、できること、やったことがあることが増えて、いい人間関係も育ってくる。
自分が楽しめることを、増やしていきましょう。
若いころの遊びが大事な理由。会社以外の居場所をたくさん作ろう
会社がないと何をしていいのかわからない、そんなあなたは要注意!退職したら仕事上の人間関係は100%なくなります。会社にあなたの居場所はありません。早いうちに、楽しいことに「時間」を投資しましょう。会社以外に居場所を、いくつでも、つくっておきましょう。
続きを見る
捨てなければいけないもの
会社の外に楽しみや仲間をつくるときに邪魔になるのが、
- 勤め先
- 経歴や地位
- 年齢、などの上下関係
- 他人との比較
- 上から目線、プライド
などなど、序列に関する情報と接し方です。
会社を離れたら元社長もただのオッサンなんですが、残念ながらそこがわかっていない人が時々いらっしゃいます。(もちろんそうでない人の方が多いと思いますが^^)
序列がないと落ち着かない、という会社マインドにまみれた関係性に慣れてしまっている人は、一旦それを捨てる訓練が必要かもしれません。
会社社会では名刺を出せば一瞬で序列が判断できますが、そうではない知らない同士の集まりでは誰が先輩かは話してみないとわからないし、マウントを取りに来る人はそれだけで嫌われます。
肩書きで人を見ないこと、肩書きを外すこと。
まずは素直であることが大切です。
ドラマ「半沢直樹」に思う、勝ち組とか負け組とか
ドラマ「半沢直樹」、大会社の「出世・派閥」をぶった斬って高視聴率の痛快サラリーマン時代劇です。半沢直樹の「勝ち組・負け組という言葉は大嫌いだ」という印象的なセリフ。私も大嫌いなこの言葉について、自分の会社員時代を思い出しながら考えてみました。
続きを見る
プライドを捨てた先に
先ほどご紹介したYahoo知恵袋に、お父さんのことで悩む高校生の息子さんからのお悩みに対する、面白い回答がありました。
■質問
役職定年後の対応についてです。
私はまだ高校生なのですが、私の父が55歳にして役職定年することが今日確定してしまったようです。
父はものすごいプライドの高い人間で、母にあたりまくる「the亭主関白」のような人間です。・・・母は平和に過ごせればお金が減ってもそれでいいといってるのに父は絶対受け入れないと思います。
(中略)
このような場合、父に対してどう対応すれば適切なのでしょうか?ほんとにめんどくさい人間なのでどうしようもありません。家族崩壊の危機さえしています。どうしたらいいのでしょうか。どなたか、お助け下さい。
■ベストアンサー
こんばんわ
私も元経営者ですが今は四十代後半の会長職、ですがお父さんと同じで引退してます
・・・
でどうすれば?ですね
・・・
それか時間かかるけどカルチャースクールなどに通わさせ色々な人と会わせる、立場も年も違う方々が料理だ手芸だピアノだとスクールで会う。元経営者でもニートでも生徒は生徒、そう言う所では通じませんから。
現に知り合い経営者、年商何十億の社長が引退、プライドにワンマン経営者でした。
私が無理矢理に近く、このスクールで結果残せ‼と油絵スクールに。
プライド落とすのが目的で先生に厳しく指導をお願い、本人もそれじゃやってやるわと頑張って絵を描いても怒られ、下手くそ扱い。
怒っても私が笑う、ほら逃げ出した小心者がといわれるからとさらに頑張って怒られて。
そうして2年。絵は下手ですが個性があり力強いタッチ出そうで絵画コンクールで特別賞もらいました。(以下略、改行加工しています)
なるほど、その手があったか!
この続きを含めて全文かなり面白いので、リンク先でお読みください。
昔のプライドを捨てた(この場合ははぎ取られた)先に、新しい別のプライドがありました。
プライドの壁を崩すのは、かくも難しいものなのですね。
こういう釈迦の手のひら的な人がすぐ近くにいてくれればいいのですが、現実にはなかなか難しいと思います。
会社員時代の肩書やプライドを捨てられない人は、自ら自覚して動く、新たな序列の中に身を置いて目を覚ます、という荒療治が必要かも。興味がある場所なら、足を運びやすいですね。
好き好んでやることではないかもしれませんが、はっきり言えるのは、そのままではご自身も周りも不幸だということ。
フラットな、良い人間関係を楽しめますように。
うらやまない、比べない
人と比べて生きる人生は、色々気になるし大変です。
どこまでいっても、常に不満をかかえてしまいます。
自分より能力が上の人、お金を持っている人、いいところに住んでいる人、いい会社に勤めている人、いいもの食べてる人、健康な人、強い人、上手い人、モテる人、…
いくらでもいますね。
それがどうした?
大事なのは、「それで幸せか」「それで楽しいか」。
もし誰かのようになりたいのなら、その誰かを目指すのではなく、自分のなりたい姿を新たに描く。
人と比べる幸せでなく自分の幸せ、自分が幸せと感じられる状態を作っていきましょう。
最強の考え方は、
「まあいいや、オレ幸せだから」
「ありがとう、オレ楽しいから」
そう思えちゃえば、何を言われても気にならないはず。
うらやまない、比べない。
今の自分を肯定できる生き方を、見つけていきませんか?
まだまだ遠いですが、私はそこを目指したいなと。
それに必要なのが、「いい人間関係」と「生きがいをもって毎日少しづつでも進んでいる感覚」だと思うのですね。
「自己肯定感」に満ちた生活を送りたいですね。
そしてみんなが幸せを感じていられれば、世界も平和に近づくはず・・・
人生を幸せにするたったひとつのもの~75年の追跡調査から
ハーバード大の75年にわたる追跡調査「幸福と健康の持続に必要なのは何か」。それは富でも名声でも仕事でもなく「良い人間関係に尽きる」という結果が得られています。幸福と健康には「良い人間関係」が最も大事。定年後の幸福満足度をあげるヒントがここに。
続きを見る
楽しい毎日のために、「できた」を生活に取り入れる
定年後「会社を辞めたらやることがなくて困った」なんてことにはなりたくないですよね。充実感のある毎日を送るには、ただ時間をつぶすのではなく、自分をアップデートしていけるものを、自分の時間の中にいれていきましょう。それには情報収集と行動、そして好奇心です。
続きを見る